ご存じの方も多いかと思いますが、2015年12月31日をもってSteve Jackson Gamesが取得していた「トラベラー・ライセンス」が失効し、これまで販売されていた全製品が絶版となります。最後に製品が発売されたのが2006年のことですから、9年間もライセンスを更新し続けていたというのは驚異的としか言いようがありません。
『GURPS Traveller』が世に出たのは1998年。この年、『Marc Miller's Traveller』(T4)を展開していたImperium Gamesが活動を終了したのと入れ替わるようにして、刊行が開始されました。旧来のシステムを捨てて汎用システムであるGURPSを使用するこのシリーズは、当初賛否両論も多かったのですが、後にGURPSらしい極めて質の高いサプリメント展開がなされたことで好評を博しました(GURPSでは遊ばずに資料だけいただく、というのが主ではあったと思いますが)。確かにGURPSは癖の強いシステムではありましたが、キャラクターに付いた「有利/不利な特徴」の要素はロールプレイの手助けと同時に「異星人らしさ」を表現する面でも有効的であったことは書き記しておきたいと思います。その一方で、宇宙港タイプやTL数値の意味合いが変更されたのは、仕方ないとはいえ混乱を呼びましたが…。
この"GT"の特徴はシステムだけでなく、宇宙設定にもありました。旧来のOTUを継承しつつも「『反乱(Rebellion)』が起きなかった帝国暦1120年」という新機軸を打ち出しました。『メガトラベラー』から『Traveller: The New Era』にかけての「エキサイティングさ」を求めた設定が必ずしもファンには評価されてなかったことを見て取ってか、「大事件の起きない安定した恒星間帝国」を舞台にしたのです。SJGが独自に展開していた「Traveller News Service」は帝国暦1130年047日付で更新を終了しましたが、これから先もこのGTU(GURPS Traveller Universe)では大事件が起こることはなく、仮にストレフォン皇帝が死を迎えても無事にシエンシア皇女が皇位を継承して、アルカリコイ朝は続いていくことでしょう。
(※とはいえ「エンプレス・ウェーブ」の設定を考えると、数十年後には銀河核方向で異変が起こり始めるはずですが…)
では、発売年代別にGURPS Travellerに限らず、SJGから発売されたトラベラー関連の全製品を簡単に振り返ってみたいと思います。なお、発売日順には必ずしも並んでいないのでご了承ください。
【1998年】 T4の終焉、GTUの幕開け
GURPS Traveller
伝統の黒表紙にあの「This is Free Trader Beowulf,」から始まる、トラベラーが戻ってきたことを告げる基本ルールブック。キャラクター作成(および変換ルール)、装備品、宇宙船解説(デッキプラン付き)といった必要最低限のものを押さえつつ、全体の半分を占めるのはライブラリ・データを含めた設定解説、という一冊。『メガトラベラー 帝国百科』があれば十分とはいえ、ありがたい資料でもあった。
ちなみに初版・第2版共にソフトカバー版・ハードカバー版が存在し、後に「トラベラー25周年記念版」も発売された。またPDF版に「Classic」とあるのは、ルールがGURPS第3版対応だからだと思われる。
Alien Races 1 Zhodani, Vargr and other races of the Spinward Marches
主要種族のゾダーン人とヴァルグルに加え、グォークナイル宙域(※スピンワード・マーチ宙域から2宙域ほど核方向にある)のドラカラン(Drakarans)と、ゾダーン領内のクロトー(Clotho)の2群小種族を解説。GURPS版準拠だが超能力の追加ルールもあり。
Behind the Claw The Spinward Marches Sourcebook
スピンワード・マーチ宙域の全星系の設定を(1120年とはいえ)網羅した唯一無二の資料集。スピンワード・マーチを冒険の舞台に選んだレフリー必携の一冊。
【1999年】
Alien Races 2 Aslan, K'kree and Other races rimward of the Imperium
主要種族のアスランとククリー、菌糸と動物が共同で知的生命となった「知性デヴィ(Devi Intelligence)」、水棲知的種族イニクス(Inyx)の設定を収録。
Far Trader Profit and pitfalls among the stars
交易ルールから金融・企業経営、はたまた星系内移動まで網羅した商人サプリメントだが、最大の功績は世界物流指数(World Trade Number)の導入により、Xボート網とは違う「星間交易の流れ」を可視化したこと。
First In Exploration and contact among the stars
偵察局の設定、装備、GURPS対応上級星系作成システムを収録。
Star Mercs Military and Mercenary Campaigning
GDW版『傭兵部隊』のGURPS版といった趣きのサプリメント。傭兵にまつわる全てがこの一冊に。
【2000年】 クラシック版、合本にて復刻開始
Alien Races 3 Hiver, Dryone, Ancients and other enigmatic races
主要種族ハイヴとドロイン(および太古種族)、ハイヴ領外のダイソン球に住む"相続者たち"(Inheritors)、ククリーと敵対してハイヴと同盟を結んだリスカインド(Lithkind)を収録。
Ground Forces Furious action in the Marines and Army
地上で戦う海兵隊・陸軍の設定、装備を網羅。この本によって初めて明らかになった設定も多い。
Rim of Fire The Solomani Rim Sourcebook
ソロマニ・リム宙域の、全星系ではないものの多くの星系の設定を収録。マングース版にはない情報もあるため、この宙域を舞台にしたいなら必携の書。
Starports Gatways to Adventure
これまでありそうでなかった「宇宙港」に焦点を当てたサプリメント。数々の新設定やサンプル宇宙港のデッキプランもありがたいが、「宇宙港キャンペーン」という新たな遊び方を提唱した功績は多大。
【2001年】
Alien Races 4 16 Intelligent races from across space
仲良くなれそうなものから存在を知られるとパニックになりそうなものまで、帝国内外の様々な群小種族を解説。
Modular Cutter Workhorse of the Imperium
帝国の縁の下の力持ちである小艇について解説。モジュール式が採用されており、様々な用途に合わせて組み換え可能なのが特徴。小さいながらも60ページに及ぶデッキプランの数々は、見ているだけでも楽しい。
Planetary Survey 1: Kamsii The Pleasure World
Planetary Survey 2: Denuli The Shrieker World
Planetary Survey 3: Granicus The Pirate Paradise
Planetary Survey 4: Glisten Jewel of the Marches
Planetary Survey 5: Tobibak The Savage Sea
Planetary Survey 6: Darkmoon The Prison Planet
このシリーズは1冊32~48ページの中に1つの星系詳細情報やシナリオフックを詰め込めるだけ詰め込んだもの。1がコア宙域、2と4がスピンワード・マーチ宙域、3と5と6がコリドー宙域で、綿密に設定が組まれているだけに他の星への設定の移植は難しいかもしれない。なお『Denuli』はGDWから出ていたシナリオ『Safari Ship』(未訳)の後日談であり、当然ながらネタバレを含むので扱いには注意。
【2002年】 Traveller20刊行開始
Heroes 1: Bounty Hunters WANTED! REWARD!
ならず者を追う「賞金稼ぎ」に関する設定とNPC集。1と銘打ったものの出たのはこれだけであった。
Best of JTAS, Volume 1 The Journal's Finest!
SJGが展開していた会員制オンライン誌「Journal of the Travellers' Aid Society」から一部記事を書籍化。ささやかではあるが、現時点で「人類の支配(第二帝国)」の設定が掲載されている商業出版物はこれのみ。
【2003年】
Humaniti The infinite Variety of Mankind in space
太古種族によって宇宙各地にばら撒かれ、それぞれ独自に進化した「人類」を解説。異星人よりも異種族な、バラエティ豊かな人類像を描いた。
Starships Construction, Combat and Adventure
待望の海軍サプリメント…となるはずだったが、結局宇宙船設計ルールのみを収録。細かく読めば設定の宝庫ではあるのだけど…。
【2004年】
Sword Worlds The Day After Ragnarok
題名通りのソード・ワールズ人やソード・ワールズ連合を解説したサプリメント。注目点は、後にも先にも類を見ない「連合加盟全星系の惑星図」。平穏な1120年設定だからこそ出来る「政情不安な占領地」的な冒険に向いた世界観を提供した。
Flare Star
元は1981年にMarischal Adventures社から発売されたリーヴァーズ・ディープ宙域を舞台にした「スコティアン・ハントレス号」4部作シナリオが(※このシリーズ5作目がGDWから発売された『侵略の夜(Night of Conquest)』)、後にSJGの『SpaceGamer』誌に掲載されたもの。それをGURPS版にリメイクして無料PDFで復刻。
【2005年】 FFE、メガトラベラーからCD-ROM版復刻開始
Nobles Lords of the Stars
縁遠いようで身近な「貴族」について、国政を動かす大貴族家から末端のナイトまで徹底解説。また、帝国の裁判制度や貴族院、行政組織の設定も網羅するなど貴重な一冊。
Psionic Institutes
ここからGURPS基本ルールが第4版に移行。題名通りに超能力研究所に関する設定を収録。PDF版のみの販売。
【2006年】 『New Era: 1248』登場
Interstellar Wars One World Against Thousands
GURPS第4版対応に伴い、宇宙設定を帝国暦以前の「恒星間戦争時代」に変更。地球連合・ヴィラニ帝国両陣営の詳細設定や戦争全史を網羅した超一級の資料集でもあった。ここから新展開が期待されていたがGURPS自体が斜陽だったこともあって、これが最後の刊行となった…。
余談だが、第4版移行の最大の利点は「宇宙港タイプがABC表記になった」ことであった(笑)。
【アクセサリー類】
Cardboard Heroes, Set 1: Soldiers of Fortune
Cardboard Heroes, Set 2: Imperial Marines
Cardboard Heroes, Set 3: Zhodani
1982年、SJGが自社展開していた「Cardboard Heroes」規格の駒セットを、GDWのライセンスを取得して販売していたもの。切り取って折り曲げるだけで完成する簡易駒だが、利便性はなかなかのもの。この後ヴァルグルが発売される予定だったようだが、3作品で打ち切られた。
Science Fiction Player Characters, Set 17
1987年に出された「Cardboard Heroes」のトラベラー風セットだった、らしい。
Droyne Coyn Set
2000年に発売されたドロインの通過儀礼で用いられるコインセット、のペーパークラフト。上記AR3やエイリアンモジュール、『黄昏の峰へ』などと併せて使用したいところ。
Deck Plan 1: Beowulf-Class Free Trader
Deck Plan 2: Modular Cutter
Deck Plan 3: Empress Marava-Class Far Trader
Deck Plan 4: Assault Cutter
Deck Plan 5: Sulieman-Class Scout/Courier
Deck Plan 6: Dragon-Class System Defense Boat
2000年~2002年にかけて発売された、「Cardboard Heroes」規格かつGURPSルール準拠で「1ヤード=1メートル」幅の「ヘクス」が引かれたデッキプラン。全部広げるとベオオルフ級でも結構な場所を取るものであった。
GM's Screen
2002年にようやく発売。ゲームマスター用スクリーンに「Brubek's」のフロアプランと「Cardboard Heroes」のシートが付属していた。ちなみに「Brubek's」とは、帝国各地のBクラス以上宇宙港に店舗を多数展開している酒場チェーン店のこと。詳細は『Starports』を参照。
Traveller T-shirt
Brubek's T-shirt
IISS patch
Imperial Sunburst patch
こういうグッズも販売していた(※ただ、patchに関しては本当に発売されたか調査中)。
Starship Forms
宇宙船設計用紙セット…が発売される予定だったが中止になったようだ。
そのほとんどが現在でも一線級の資料群だっただけに失われるのが惜しいのですが、さすがに9年も新製品が出ない状況で続けろというのも酷であり、残念ではありますが「その使命を終えた」のでしょう。本家がT4で迷走した後でOTUを立て直し補強したその功績は多大であり、いつまでも読み継がれるべき作品群だと思います。
制作や出版に携わった皆さん、お疲れ様でした。
『GURPS Traveller』が世に出たのは1998年。この年、『Marc Miller's Traveller』(T4)を展開していたImperium Gamesが活動を終了したのと入れ替わるようにして、刊行が開始されました。旧来のシステムを捨てて汎用システムであるGURPSを使用するこのシリーズは、当初賛否両論も多かったのですが、後にGURPSらしい極めて質の高いサプリメント展開がなされたことで好評を博しました(GURPSでは遊ばずに資料だけいただく、というのが主ではあったと思いますが)。確かにGURPSは癖の強いシステムではありましたが、キャラクターに付いた「有利/不利な特徴」の要素はロールプレイの手助けと同時に「異星人らしさ」を表現する面でも有効的であったことは書き記しておきたいと思います。その一方で、宇宙港タイプやTL数値の意味合いが変更されたのは、仕方ないとはいえ混乱を呼びましたが…。
この"GT"の特徴はシステムだけでなく、宇宙設定にもありました。旧来のOTUを継承しつつも「『反乱(Rebellion)』が起きなかった帝国暦1120年」という新機軸を打ち出しました。『メガトラベラー』から『Traveller: The New Era』にかけての「エキサイティングさ」を求めた設定が必ずしもファンには評価されてなかったことを見て取ってか、「大事件の起きない安定した恒星間帝国」を舞台にしたのです。SJGが独自に展開していた「Traveller News Service」は帝国暦1130年047日付で更新を終了しましたが、これから先もこのGTU(GURPS Traveller Universe)では大事件が起こることはなく、仮にストレフォン皇帝が死を迎えても無事にシエンシア皇女が皇位を継承して、アルカリコイ朝は続いていくことでしょう。
(※とはいえ「エンプレス・ウェーブ」の設定を考えると、数十年後には銀河核方向で異変が起こり始めるはずですが…)
では、発売年代別にGURPS Travellerに限らず、SJGから発売されたトラベラー関連の全製品を簡単に振り返ってみたいと思います。なお、発売日順には必ずしも並んでいないのでご了承ください。
【1998年】 T4の終焉、GTUの幕開け
GURPS Traveller
伝統の黒表紙にあの「This is Free Trader Beowulf,」から始まる、トラベラーが戻ってきたことを告げる基本ルールブック。キャラクター作成(および変換ルール)、装備品、宇宙船解説(デッキプラン付き)といった必要最低限のものを押さえつつ、全体の半分を占めるのはライブラリ・データを含めた設定解説、という一冊。『メガトラベラー 帝国百科』があれば十分とはいえ、ありがたい資料でもあった。
ちなみに初版・第2版共にソフトカバー版・ハードカバー版が存在し、後に「トラベラー25周年記念版」も発売された。またPDF版に「Classic」とあるのは、ルールがGURPS第3版対応だからだと思われる。
Alien Races 1 Zhodani, Vargr and other races of the Spinward Marches
主要種族のゾダーン人とヴァルグルに加え、グォークナイル宙域(※スピンワード・マーチ宙域から2宙域ほど核方向にある)のドラカラン(Drakarans)と、ゾダーン領内のクロトー(Clotho)の2群小種族を解説。GURPS版準拠だが超能力の追加ルールもあり。
Behind the Claw The Spinward Marches Sourcebook
スピンワード・マーチ宙域の全星系の設定を(1120年とはいえ)網羅した唯一無二の資料集。スピンワード・マーチを冒険の舞台に選んだレフリー必携の一冊。
【1999年】
Alien Races 2 Aslan, K'kree and Other races rimward of the Imperium
主要種族のアスランとククリー、菌糸と動物が共同で知的生命となった「知性デヴィ(Devi Intelligence)」、水棲知的種族イニクス(Inyx)の設定を収録。
Far Trader Profit and pitfalls among the stars
交易ルールから金融・企業経営、はたまた星系内移動まで網羅した商人サプリメントだが、最大の功績は世界物流指数(World Trade Number)の導入により、Xボート網とは違う「星間交易の流れ」を可視化したこと。
First In Exploration and contact among the stars
偵察局の設定、装備、GURPS対応上級星系作成システムを収録。
Star Mercs Military and Mercenary Campaigning
GDW版『傭兵部隊』のGURPS版といった趣きのサプリメント。傭兵にまつわる全てがこの一冊に。
【2000年】 クラシック版、合本にて復刻開始
Alien Races 3 Hiver, Dryone, Ancients and other enigmatic races
主要種族ハイヴとドロイン(および太古種族)、ハイヴ領外のダイソン球に住む"相続者たち"(Inheritors)、ククリーと敵対してハイヴと同盟を結んだリスカインド(Lithkind)を収録。
Ground Forces Furious action in the Marines and Army
地上で戦う海兵隊・陸軍の設定、装備を網羅。この本によって初めて明らかになった設定も多い。
Rim of Fire The Solomani Rim Sourcebook
ソロマニ・リム宙域の、全星系ではないものの多くの星系の設定を収録。マングース版にはない情報もあるため、この宙域を舞台にしたいなら必携の書。
Starports Gatways to Adventure
これまでありそうでなかった「宇宙港」に焦点を当てたサプリメント。数々の新設定やサンプル宇宙港のデッキプランもありがたいが、「宇宙港キャンペーン」という新たな遊び方を提唱した功績は多大。
【2001年】
Alien Races 4 16 Intelligent races from across space
仲良くなれそうなものから存在を知られるとパニックになりそうなものまで、帝国内外の様々な群小種族を解説。
Modular Cutter Workhorse of the Imperium
帝国の縁の下の力持ちである小艇について解説。モジュール式が採用されており、様々な用途に合わせて組み換え可能なのが特徴。小さいながらも60ページに及ぶデッキプランの数々は、見ているだけでも楽しい。
Planetary Survey 1: Kamsii The Pleasure World
Planetary Survey 2: Denuli The Shrieker World
Planetary Survey 3: Granicus The Pirate Paradise
Planetary Survey 4: Glisten Jewel of the Marches
Planetary Survey 5: Tobibak The Savage Sea
Planetary Survey 6: Darkmoon The Prison Planet
このシリーズは1冊32~48ページの中に1つの星系詳細情報やシナリオフックを詰め込めるだけ詰め込んだもの。1がコア宙域、2と4がスピンワード・マーチ宙域、3と5と6がコリドー宙域で、綿密に設定が組まれているだけに他の星への設定の移植は難しいかもしれない。なお『Denuli』はGDWから出ていたシナリオ『Safari Ship』(未訳)の後日談であり、当然ながらネタバレを含むので扱いには注意。
【2002年】 Traveller20刊行開始
Heroes 1: Bounty Hunters WANTED! REWARD!
ならず者を追う「賞金稼ぎ」に関する設定とNPC集。1と銘打ったものの出たのはこれだけであった。
Best of JTAS, Volume 1 The Journal's Finest!
SJGが展開していた会員制オンライン誌「Journal of the Travellers' Aid Society」から一部記事を書籍化。ささやかではあるが、現時点で「人類の支配(第二帝国)」の設定が掲載されている商業出版物はこれのみ。
【2003年】
Humaniti The infinite Variety of Mankind in space
太古種族によって宇宙各地にばら撒かれ、それぞれ独自に進化した「人類」を解説。異星人よりも異種族な、バラエティ豊かな人類像を描いた。
Starships Construction, Combat and Adventure
待望の海軍サプリメント…となるはずだったが、結局宇宙船設計ルールのみを収録。細かく読めば設定の宝庫ではあるのだけど…。
【2004年】
Sword Worlds The Day After Ragnarok
題名通りのソード・ワールズ人やソード・ワールズ連合を解説したサプリメント。注目点は、後にも先にも類を見ない「連合加盟全星系の惑星図」。平穏な1120年設定だからこそ出来る「政情不安な占領地」的な冒険に向いた世界観を提供した。
Flare Star
元は1981年にMarischal Adventures社から発売されたリーヴァーズ・ディープ宙域を舞台にした「スコティアン・ハントレス号」4部作シナリオが(※このシリーズ5作目がGDWから発売された『侵略の夜(Night of Conquest)』)、後にSJGの『SpaceGamer』誌に掲載されたもの。それをGURPS版にリメイクして無料PDFで復刻。
【2005年】 FFE、メガトラベラーからCD-ROM版復刻開始
Nobles Lords of the Stars
縁遠いようで身近な「貴族」について、国政を動かす大貴族家から末端のナイトまで徹底解説。また、帝国の裁判制度や貴族院、行政組織の設定も網羅するなど貴重な一冊。
Psionic Institutes
ここからGURPS基本ルールが第4版に移行。題名通りに超能力研究所に関する設定を収録。PDF版のみの販売。
【2006年】 『New Era: 1248』登場
Interstellar Wars One World Against Thousands
GURPS第4版対応に伴い、宇宙設定を帝国暦以前の「恒星間戦争時代」に変更。地球連合・ヴィラニ帝国両陣営の詳細設定や戦争全史を網羅した超一級の資料集でもあった。ここから新展開が期待されていたがGURPS自体が斜陽だったこともあって、これが最後の刊行となった…。
余談だが、第4版移行の最大の利点は「宇宙港タイプがABC表記になった」ことであった(笑)。
【アクセサリー類】
Cardboard Heroes, Set 1: Soldiers of Fortune
Cardboard Heroes, Set 2: Imperial Marines
Cardboard Heroes, Set 3: Zhodani
1982年、SJGが自社展開していた「Cardboard Heroes」規格の駒セットを、GDWのライセンスを取得して販売していたもの。切り取って折り曲げるだけで完成する簡易駒だが、利便性はなかなかのもの。この後ヴァルグルが発売される予定だったようだが、3作品で打ち切られた。
Science Fiction Player Characters, Set 17
1987年に出された「Cardboard Heroes」のトラベラー風セットだった、らしい。
Droyne Coyn Set
2000年に発売されたドロインの通過儀礼で用いられるコインセット、のペーパークラフト。上記AR3やエイリアンモジュール、『黄昏の峰へ』などと併せて使用したいところ。
Deck Plan 1: Beowulf-Class Free Trader
Deck Plan 2: Modular Cutter
Deck Plan 3: Empress Marava-Class Far Trader
Deck Plan 4: Assault Cutter
Deck Plan 5: Sulieman-Class Scout/Courier
Deck Plan 6: Dragon-Class System Defense Boat
2000年~2002年にかけて発売された、「Cardboard Heroes」規格かつGURPSルール準拠で「1ヤード=1メートル」幅の「ヘクス」が引かれたデッキプラン。全部広げるとベオオルフ級でも結構な場所を取るものであった。
GM's Screen
2002年にようやく発売。ゲームマスター用スクリーンに「Brubek's」のフロアプランと「Cardboard Heroes」のシートが付属していた。ちなみに「Brubek's」とは、帝国各地のBクラス以上宇宙港に店舗を多数展開している酒場チェーン店のこと。詳細は『Starports』を参照。
Traveller T-shirt
Brubek's T-shirt
IISS patch
Imperial Sunburst patch
こういうグッズも販売していた(※ただ、patchに関しては本当に発売されたか調査中)。
Starship Forms
宇宙船設計用紙セット…が発売される予定だったが中止になったようだ。
そのほとんどが現在でも一線級の資料群だっただけに失われるのが惜しいのですが、さすがに9年も新製品が出ない状況で続けろというのも酷であり、残念ではありますが「その使命を終えた」のでしょう。本家がT4で迷走した後でOTUを立て直し補強したその功績は多大であり、いつまでも読み継がれるべき作品群だと思います。
制作や出版に携わった皆さん、お疲れ様でした。